野菜を育てるうえで、病害虫は必ずといっていいほど発生します。
病害虫の知識を身に着け、適切に対処することで、被害を大きく減らせることができます。
この記事では
- 病害虫の基本
- 発生する原因
- 予防方法
- 発生したときの対処法
を解説していきます。
病害虫とは?
病害と害虫の違い
- 病害
糸状菌、細菌、ウイルスなどが原因。 - 害虫
センチュウ、ダニ、昆虫などが原因。
害虫には、吸汁性害虫と食害性害虫に分けることができる。
吸汁性害虫
ダニ類やアブラムシ類など。
肉眼では見えない小さいものが多く、植物内の養分を吸って被害を与える。初期段階では被害に気付かない場合も多い。
食害性害虫
アオムシや蛾の幼虫など。
植物の葉や実を直接たべ、穴をあけたり、食切ったりして被害を与える。被害は比較的分かりやすい。
植物の葉などが変色したり、しおれた場合は、その原因が病原菌によるものなのか、害虫によるものなか適切に判断して対処にしなくてはいけません。
病害虫が発生する理由
主な原因として、次のようなものがあげられます。
- 湿度
- 気温
- 株の弱り
病原菌が野菜に付着したら、必ず被害を受けるわけではありません。植物も人間と同様に、外部からの病原菌に対する免疫機能をもっています。
植物の免疫機能が十分に働く環境で育てることで、病気を予防したり、回復につなげることができるようになります。
病害虫が発生するには何かしら理由があるので、栽培環境に問題はなかったかなど考えることが大切です。
病害虫は完全に防げるのか?
病害虫を完全に防除することは、ほとんど不可能です。
被害をゼロにするのではなく、いかに発生しにくい環境をつくるかが重要になります。
農業は自然を相手にしており、害虫が飛んきたり、土のなかには必ず糸状菌など存在します。
植物工場などの無菌状態であれば、環境を操作することはできますが、屋外で栽培する場合はしょうがないことです。
また、対策することで病害虫の被害を減らすことができるので、予防するための工夫を考えることも農業の楽しさだと思います。
野菜によく発生する病気
野菜を栽培するうえで、代表的な病害は次のようなものがある。
うどんこ病
ナスやキュウリ、ピーマンなどで発生する。
葉や茎に白い斑点のようなものが発生して、葉全面が粉をまぶしたような状態になる。
うどんこ病については、以下の記事で詳しく解説しています。
モザイク病
トマトやピーマン、カボチャなどで発生する。
葉に黄色や緑色のモザイク状の模様が発生する。
べと病
カブやキャベツなどで発生する。
葉の表面に淡黄色の病斑広がり、葉の裏側には灰色のカビが発生する。
このように、野菜によって様々な症状が発生します。
一見どの病気にかかっているのか判断が難しので、しっかり観察することが重要です。
野菜によく発生する害虫
野菜には様々な種類の害虫が発生します。大きさや生息場所もバラバラで、それぞれの特徴を理解したうえで、適切な対処をする必要があります。
代表的な害虫は次のようなものがいます。
- アブラムシ
- ハダニ
- コナジラミ
- ヨトウムシ
- アオムシ
- ネキリムシ
病害虫を予防する基本対策
病害・害虫どちらにも有効な手段としては、農薬があります。
過去には農薬による健康被害もあり農薬に対して抵抗感を持つ方も多いですが、現在流通している農薬はしっかり基準をクリアしたものです。
使用方法を守って利用すれば、健康上問題ないため農薬の活用も検討するのがいいと思います。
農薬以外には次のような対策方法があります。
病害対策
①最適な環境づくり
密植や水のやり過ぎなど、湿度が高くなると病原菌が増えやすくなります。
② 品種を考える
特定の病気に対して、抵抗性を持っている種や苗が販売されているので、このようなものを選ぶのもいいです。
品種改良に対して抵抗がある方は、抵抗性の台木に接ぎ木をしている野菜の苗も販売しています。
③ 健康な土づくり
有機物を土に与えることで、有益な微生物が増え、病原菌を減らすことができます。また、健康な土で育った野菜は、免疫機能も高いため病気になりにくくなります。
未熟な有機物を投入すると逆効果になってしまうので注意が必要です。
④土壌消毒
真夏にビニールフィルムなど畝を覆い、病原菌などを駆除する太陽熱消毒も効果的です。
近年は気温も高いので、真夏であれば2~3週間で消毒が可能です。環境的にも問題ないですし、手軽に取り組めるので、おすすめです。
害虫対策
① 定期的な観察
早期発見がとても重要です。害虫を見つけたら捕殺したり、寄生した葉を除去します。
②防虫ネットなど資材の活用
防虫ネットやアブラムシの忌避効果のある銀白色マルチなどの活用は効果的です。
アブラムシが病原菌を媒介することも多いため、こうした対策が病気の防止にもつながります。
③天敵の活用
テントウムシやクモなど害虫を捕食する昆虫や動物、微生物を活用するの効果的です。
天敵の中には生物農薬として登録され販売されているものあります。
このような天敵が生息できる環境をつくることも大切です。
対抗植物の活用
植物の力で、特定の病害虫を防ぐことも可能です。
主にセンチュウに対して使用されることが多く、マリーゴールドやソルゴーなどが利用されています。センチュウは種類が多く、対抗植物がどの種類に効果があるのかは決まっているため、対処したいセンチュウの種類を把握する必要があります。
病害虫が発生したときの対処法
どれだけ予防をしていても、病害虫が発生してしまうことはあります。
その場合は、被害が広がる前に適切に対処することが重要です。
被害の程度によって、対処方法を考えましょう。
初期なら取り除く
発生したばかりの段階であれば、物理的に取り除くだけでも十分に対応できる場合があります。
- 手で除去
- 葉を切る
アオムシやヨトウムシなどの害虫は、見つけ次第取り除きます。
被害を受けている葉が少ない場合は、その部分を切り取ってしまうのも効果的です。
アブラムシなどの小さな害虫は、水で洗い流すことで数を減らすこともできます。
このように、被害が小さい段階で対処することで、農薬を使用せずに解決できる場合もあります。
被害が広がる場合
被害が広がってしまった場合は、農薬などの資材の使用も検討する必要があります。
例えば、農薬、有機資材、BT剤などがあります。
農薬は適切に使用することで、効率的に病害虫を防除することができます。
また、有機栽培でも使用できる資材として、BT剤などの微生物農薬もあります。
被害が大きくなると収穫量にも大きく影響するため、状況に応じて資材を活用することも大切です。
※農薬については別の記事で詳しく解説する予定です。
有機栽培での病害虫対策
有機栽培の場合、病害虫はかなりの確率で発生します。
私自身も農薬を使用せず栽培していますが、虫は必ずといっていいほど発生していました。
そのため、畑ではこまめに野菜の状態を確認することがとても重要です。
ただ、以前栽培したキャベツは、環境づくりを意識して、健康に育ったため病害虫がほとんど発生しませんでした。
改めて、本当に健康な野菜は病害虫がほとんどないということを実感しました。
野菜の葉の裏や新芽などは、害虫が発生しやすい場所です。
こうした部分を定期的に観察することで、被害が大きくなる前に対処することができます。
また、有機栽培でも自然由来の農薬であれば使用可能なため、こうしたものを活用するのも一つの手段です。
有機栽培では
早期発見
栽培環境の管理
が特に重要になります。
有機農業については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
野菜を栽培するうえで、病害虫の発生を完全に防ぐことは難しいです。
しかし、基本的な知識を身につけることで、被害を大きく減らすことができます。
病害虫対策で重要なポイントは次の通りです。
- 病害虫は必ず発生する
- 栽培環境が原因になることが多い
- 早期発見がとても重要
- 被害が小さいうちに対処する
日頃から野菜の状態を観察する習慣をつけることで、病害虫の被害を抑えることができるようになります。



